Useful column: Voice recognition
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February 10, 2026
音声認識エンジンとは?種類と選び方、活用事例を徹底解説

音声認識エンジンの基本概念
音声認識エンジンとは何か
音声認識エンジンとは、人間が発した音声を自動的にテキストに変換する技術です。音声信号をデジタルデータとして取り込み、AI技術を活用して言葉や単語を認識し、文字情報へと変換します。
現在、スマートフォンの音声アシスタント、カスタマーサポートの自動応答システム、会議の議事録作成など、幅広く活用されています。AIとディープラーニング技術の発展により、音声認識の精度は飛躍的に向上しており、自然言語処理との組み合わせで、より人間に近い言葉の理解が可能になっています。
音声認識の仕組みと技術
音声認識エンジンは、以下の6つのステップで音声をテキストに変換します。
【ステップ1】音声入力 → マイクから音声データを取得
【ステップ2】前処理 → ノイズ除去、音声区間検出
【ステップ3】特徴抽出 → 音響的特徴量の抽出
【ステップ4】音響モデル処理 → ディープラーニングで音素を推定
【ステップ5】言語モデル処理 → 文脈から最適な単語列を推定
【ステップ6】テキスト出力 → 最終的な認識結果を出力
この処理には、ディープラーニングなどの高度なAI技術が使用されています。音響モデルは音声の波形パターンを学習し、言語モデルは文脈や文法から自然な単語の組み合わせを推測します。
クラウド型システムは大量データを活用した高精度な認識が可能で、エッジデバイス型はネットワーク環境に依存せず動作します。
音声認識エンジンの選び方
音声認識エンジンを選定する際には、複数の観点から総合的に評価することが重要です。以下の表は、選定時にチェックすべき主要なポイントをまとめたものです。
音声認識エンジンの選定基準チェックリスト
評価項目 | チェックポイント | 重要度 |
認識精度 | ・専門用語への対応・方言やアクセントの認識・ノイズ環境での精度 | ★★★ |
対応言語 | ・必要な言語のサポート・多言語の同時対応 | ★★★ |
導入形態 | ・クラウド型 or オンプレミス型・エッジデバイス対応 | ★★☆ |
コスト | ・初期費用・月額料金・従量課金の単価 | ★★★ |
機能性 | ・リアルタイム処理・話者識別・カスタマイズ性 | ★★☆ |
セキュリティ | ・データ暗号化・アクセス制御・プライバシー保護 | ★★★ |
サポート体制 | ・技術サポートの充実度・ドキュメントの質 | ★★☆ |
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
認識精度の重要性
音声認識エンジン選定で最も重視すべきポイントは認識精度です。ビジネス用途では、誤認識が業務効率化を妨げる原因となるため、高い精度が必須となります。
実際の利用環境に近い条件でテストを行い、アクセントや方言、専門用語への対応力を確認しましょう。業界特有の専門用語が多い環境では、カスタマイズ機能の有無も重要です。自社の業務に合わせて単語を登録できるエンジンを選ぶことで、認識精度の向上が実現できます。
用途に応じたエンジンの選定
音声認識エンジンには、汎用型と領域特化型があります。汎用型は幅広い用途に対応できますが、医療や法律など特定分野に特化したエンジンは、専門用語や文脈の理解に優れています。
自社の業務内容を明確にし、各エンジンの強みを比較検討しましょう。また、将来的な拡張性も重要です。APIを提供しているサービスなら、既存システムとの連携も容易になります。
コストと導入の手間
音声認識エンジンの導入では、初期費用と運用コストの両面から検討が必要です。クラウド型は初期投資を抑えられ、オンプレミス型は長期的なコストを抑えられる可能性があります。
無料プランを提供しているサービスもあるため、小規模なテストから始めることをおすすめします。また、サポート体制やマニュアルの充実度も確認しましょう。
主要な音声認識エンジンの比較
主要な音声認識エンジンの特徴を比較表にまとめました。それぞれのサービスには異なる強みがあるため、自社のニーズに合わせて選定することが重要です。
主要な音声認識エンジンの比較
サービス名 | 提供企業 | 主な特徴 | 対応言語数 | 料金体系 | 強み |
Google Cloud Speech-to-Text | リアルタイム認識、ノイズ除去 | 120以上 | 従量課金制 | 多言語対応、話者識別 | |
Amazon Transcribe | Amazon (AWS) | カスタム語彙、医療特化版あり | 100以上 | 従量課金制 | セキュリティ、AWS連携 |
Microsoft Azure Speech Service | Microsoft | 音声合成・翻訳も提供 | 100以上 | 従量課金制 | Microsoft製品との連携 |
IBM Watson Speech to Text | IBM | 業界特化型カスタマイズ | 20以上 | 従量課金制 | 専門分野への対応力 |
それぞれのサービスについて、詳しく見ていきましょう。
Google Cloud Speech-to-Text
Google Cloud Speech-to-Textは、120以上の言語と方言に対応した高機能な音声認識サービスです。リアルタイム音声認識と音声ファイルの文字起こしの両方に対応し、ノイズ除去機能や話者識別機能も備えています。
料金体系は従量課金制で、毎月一定時間までは無料で利用できます。APIを通じた既存システムとの連携も容易で、開発者向けドキュメントも充実しています。
Amazon Transcribe
Amazon Transcribeは、AWSが提供する音声認識サービスで、カスタム語彙機能により企業固有の専門用語や製品名を登録できます。AWSの堅牢なインフラを活用し、データの暗号化やアクセス制御などエンタープライズレベルのセキュリティ対応が可能です。
他のAWSサービスとの連携に優れており、コールセンターでの顧客対応分析や営業活動 の記録など、様々なビジネスシーンで活用されています。
Microsoft Azure Speech Service
Microsoft Azure Speech Serviceは、音声認識、音声合成、リアルタイム翻訳など包括的な音声機能を提供しています。Microsoft 365などの既存製品とスムーズに連携でき、感情分析や意図理解などAI技術との統合により高度な機能を実現できます。
導入実績も豊富で、サポート体制も充実しています。
IBM Watson Speech to Text
IBM Watson Speech to Textは、医療や法律など専門分野に特化した音声認識に強みを持ちます。音響モデルと言語モデルの両方をカスタマイズでき、特定の業務環境に最適化された認識精度を実現できます。
サポート体制が充実しており、企業向けプランではオンプレミス環境での構築も可能です。
音声認識エンジンの活用事例
音声認識エンジンは、様々な業界で活用されています。以下の表は、主な業界での活用シーンと得られる効果をまとめたものです。
業界別音声認識エンジンの活用事例
業界 | 活用シーン | 主な効果 |
ビジネス全般 | 議事録作成、顧客対応記録 | 作業時間50-70%削減 |
コールセンター | 通話内容の自動記録・分析 | 対応品質向上、教育効率化 |
医療 | 診療記録、カルテ作成 | 記録時間40%短縮 |
教育 | 授業の字幕生成、語学学習 | 学習効率向上、アクセシビリティ向上 |
法律 | 裁判記録、契約書作成 | 正確性向上、業務効率化 |
製造 | 作業指示、品質検査記録 | ハンズフリー作業、安全性向上 |
メディア | 動画字幕生成、インタビュー文字起こし | コンテンツ制作時間短縮 |
それぞれの分野での具体的な活用方法について見ていきましょう。
ビジネスにおける活用
音声認識エンジンは、ビジネスの様々な場面で業務効率化を実現します。カスタマーサポートでは、問い合わせ内容を自動で文字起こしし、対応品質向上と情報共有を促進します。音声による自動応答システムの導入で、24時間365日の顧客対応も可能になります。
会議の議事録作成では、発言をリアルタイムでテキスト化することで参加者は議論に集中でき、営業活動では商談内容の自動テキスト化により報告書作成時間を大幅に短縮できます。
教育分野での応用
教育分野では、音声認識エンジンが学習支援ツールとして活用されています。語学学習では、発音を自動評価しフィードバックすることで効率的な学習を支援します。
オンライン授業ではリアルタイムで字幕を生成し、聴覚に障がいのある学生や雑音の多い環境でも平等な学習機会を提供します。研究活動では、インタビューや実験記録の文字起こしを効率化し、研究者がデータ分析に集中できる環境を整えます。
医療現場での利用
医療現場では、音声認識エンジンが診療記録の効率化に貢献しています。医師が診察中に音声で症状や診断内容、処方薬を記録することで、キーボード入力の時間を大幅に削減できます。医療用語に対応した専門エンジンにより、高い認識精度を実現しています。
実際の導入事例では、電子カルテへの音声入力でカルテ作成時間が約40%短縮されたクリニックもあります。在宅医療では、スマートフォンやタブレットと連携し、患者宅や移動中でも音声記録が可能です。
音声認識エンジンのセキュリティとプライバシー対策
音声認識エンジンを業務で利用する際、セキュリティとプライバシー保護は極めて重要です。音声データには個人情報や企業の機密情報が含まれる可能性があります。
データの暗号化は基本的な対策の一つです。音声データの送受信時にはSSL/TLSによる暗号化を行い、保存時も暗号化された状態で管理します。アクセス制御を適切に設定し、権限を持つユーザーのみがデータにアクセスできるようにしましょう。
クラウド型サービスを利用する場合は、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認してください。データの保存地域や保持期間などの詳細情報を把握することが大切です。エッジデバイス上で動作するエンジンなら、音声データをクラウドに送信せずに処理できるため、情報漏洩リスクを大幅に低減できます。
音声認識エンジンの未来
AIと音声認識の進化
AI技術の進化により、音声認識エンジンの性能は飛躍的に向上しています。ディープラーニングの発展で、複雑な音声パターンの認識や文脈を考慮した自然な言葉の理解が可能になりました。
今後は、感情や意図を読み取る技術の向上により、単なる文字起こしを超えたコミュニケーションツールへと進化していくでしょう。リアルタイム処理能力も継続的に向上し、同時通訳やライブ字幕生成など即座の対応が求められる場面での活用も広がっています。
新たな市場と可能性
音声認識技術は、様々な業界で新たなビジネスモデルを生み出しています。IoTデバイスやスマートホームとの連携により、音声による家電操作や情報検索が日常化しつつあります。自動車業界では安全運転を支援し、エンターテインメント分野では動画の自動字幕生成やゲームでの音声コマンド入力など、ユーザー体験を向上させています。
今後、音声認識エンジンはさらに多様な分野で活用され、私たちの生活やビジネスをより便利で効率的なものにしていくでしょう。
※本コラムで紹介している各社のサービスにつきましては、掲載内容の正確性・最新性を保証するものではありません。ご利用に際しては、必ずご自身の責任で各社が提供する公式情報・利用条件をご確認ください。サービス利用により生じたいかなる損害についても責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
国産音声認識エンジン「Onkyo SPEECH」のご紹介
ここまで主要な音声認識エンジンについて紹介してきましたが、最後に国産の音声認識エンジンとして、オンキヨー株式会社が独自開発した「Onkyo SPEECH」を紹介します。
Onkyo SPEECHは、長年のオーディオ技術で培った「音」の技術力を活かし、日本のビジネスシーンで求められる機能に特化した音声認識エンジンです。
Onkyo SPEECHの主な特徴
電話音声とシニア層の音声に強い
一般的な音声認識エンジンは高品質な音声(16kHz)を想定していますが、電話音声は低品質(8kHz)のため認識精度が低下します。Onkyo SPEECHは、コールセンターでの大量の通話録音データを機械学習で分析し、電話音声でも高い認識率を実現。特にシニア世代の音声にも84%以上の認識率を誇ります。
カスタマイズ学習による精度向上
方言や業界独自の専門用語に対して、後追い学習によるカスタマイズが可能です。お客様のデータに独自のラベルを付けて学習することで、認識率を80%以上まで向上させることができます。この学習プロセスは追加費用なしで提供されます。
軽量で柔軟な導入形態
独自のアルゴリズムにより、サーバーだけでなくスマートフォン上 でも動作可能な軽量モデルを実現しています。クラウド型とオンプレミス型の両方に対応し、既存の電話番号を転送するだけで導入可能なため、大規模なシステム変更は不要です。
信頼性の高い技術基盤
Onkyo SPEECHの音声認識技術は、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)との産学共同研究により開発され、国際学会でも論文が発表されています。コールセンターや議事録作成、営業電話の文字起こしなど、様々な企業で導入実績があります。
国産エンジンとして日本語の音声認識に特化した開発が行われており、日本企業のニーズに合わせたきめ細やかなサポートを受けられる点も魅力です。特にコールセンター業務や高齢者対応が必要なビジネスにおいて、Onkyo SPEECHは強力なソリューションとなります。
音声認識エンジンの導入をご検討の際は、ぜひOnkyo SPEECHもご検討ください。


